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労働基準法・民法上のルール

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労働基準法や民法上でルールがあります。

 

会社で勤めていると「退職・辞職」は、そう何度も経験するものではないかと思います。なので「よし退職しよう」と思っても、まず何をしたらいいのかわからない方も多い方ともいます。

 

しかも「退職・辞職」に関するルールが会社によって定められている場合もあり企業によってはその内容も異なります。

 

そこで「いったいどうすれば正解なんだろう?」と悩んでしまいますよね。

 

ここではそのような悩みを解決するため、法律上の正しい「退職・辞職」の知識を詳しく説明したいと思います。

 

この法律上の「退職・辞職」知識を覚えておくだけでも今度退職するときに。どのような流れで退職するかや、会社との間でのトラブルをなくし、より損しない形で「退職・辞職」できる可能性が高まります。

 

そこでまずは、労働基準法における「退職・辞職」のルールを説明します。

 

1.労働基準法における「退職・辞職」のルール

 

・退職、辞職とは

労働者の意思に基づく労働契約の一方的解約のことです。

 

労働者の意思による「退職・辞職」は原則として自由です。なので、会社辞めたいと思って「退職・辞職」するとこを会社側は拒否できません。

しかし、民法によって退職時のルールが定められているため、勝手に「退職・辞職」していいというわけでもありません。

 

退職に関するルールは、労働基準法でなく民法で規定されています。

 

・期間の定めのない雇用契約の場合

会社との間で雇用契約を結ぶとき、〇年や〇ヶ月と働く期間を限定せずに雇用契約を凍結している場合は、正社員、派遣社員、アルバイト、パートに関係なく「期間の定めのない雇用契約」に該当します。

ただし、民法だと以下のように定められているので、これが退職時の法的なルールになります。

 

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

(民法627条1項)

 

民法だと「退職・辞職」の2週間前までに、会社に対して退職、辞職する意思を伝えなければならないのです。

2週間前までに必ず伝えなければ、退職、辞職できないわけではありませんが会社から「損害賠償請求」をされるリスクが非常に高くなってしまいます。

 

また、月給制、年俸制の場合はルールが以下になります。

 

期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。

(民法627条2項)

 

※月給制の場合の例

8月いっぱいで退職(辞職)したい場合

→8月15日までに退職意思を伝えることで、8月いっぱいで退職(辞職)可能

 

六箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申入れは、三カ月前にしなければならない。

(民法327条3項)

 

大体の人は月給や日給制かと思います。その場合は、2週間以上前位に「退職・辞職」を申し入れれば、どんな理由でも退職、辞職することは可能です。

 

契約途中での退職は…

 

1.やむを得ない事由がある → ただちに退職可能

2.特にこれといった重大な事由がない → ただちに退職できない(会社と話し合い合意が必要)

3.契約期間の初日から1年以後 → いつでも退職可能

 

※どの場合も会社は労働者に労働を強制できないため、退職事態は可能だが損害賠償請求されるリスクが高くなる。特に1と2は退職した際に損害賠償請求される可能性があります。

 

・期間の定めのある雇用契約(有期雇用)の場合

 

期間の定めのある雇用契約はどんなものかと言いますと、会社との間で雇用契約を結んだ時に「〇年〇月〇日まで働く」と期間をさ定めている契約のことです。

 

この場合、契約期間途中での「退職・辞職」は原則できません。ただし、民法では以下のように定められています。

 

当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

 

(民法628条)

 

このように法律上ではやむを得ない事由がある場合のみ契約期間中でもすぐに退職。辞職が認められています。

法律上では、やむを得ない事由の定義は特にありませんが以下の場合はやむを得ない事由に当てはまるかと思います。

 

・妊娠・出産・育児

・家族の介護

・賃金の未払い

・月100時間以上の残業

 

もし、やむを得ない事由のようなことが場合でも、会社との間で話し合い合意があれば退職。辞職することができますが、万が一合意がない場合は損害賠償請求される可能性があります。

契約期間の初日から1年以後は、労働者は自分の意思で自由に退職、辞職することができます。(労働基準法137条)

 

・会社の就業規則の規定より民法の方が優先される

 

民法では「2週間前までに退職、辞職を申し入れる」ことで退職、辞職が可能とご説明しましたが、多くの会社では「就業規則で1ヶ月~3ヶ月前までに退職を申し入れる」ことが書かれているようです。

 

この場合でも、民法における「2週間前までに退職、辞職を申し入れ」よりも長い期間を会社が定めていても基本的には法律が優先されるので無効と考えられることが多いです.

そのため、基本的には、会社に退職、辞職の意思を伝えることで2週間後には退職できます。

 

 

・労働基準法上の退職に関する悩みと対処法

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退職に関する悩みと解決方法。労働基準法上での説明

 

 

会社を辞めたいと考えている人で、大きな悩みが以下のような場合です。

 

・会社が退職を承諾しない

退職の意思意向を伝えて、会社側から退職を拒否されたでも「会社を辞める権利」があなたにはあります。会社に対して2週間前までに退職、辞職の意思表示をすることで法律上退職することができます。念のため証拠が残るもので退職、辞職の意思表示をしましょう。

 

例えば

直属の上司や人事にメールで送る

退職届を内容証明付き郵便で会社に送る

などです。

 

 

・有給休暇を使えない

「退職・辞職」する時まれに、有給休暇の消化を認めてくれないケースもあります。

会社側が拒否しても、実は法律上有給休暇は従業員が申請すれば、無条件で取得することができます。知らない方も多いと思いますが、従業員は会社側に理由を言う必要もありません。

 

法律上、従業員には以下の日数が付与されますので退職、辞職前に残っていれば会社に申請し消化しときましょう。

 

勤続年数 有給休暇の付与日数
半年 10日
1年6ヶ月 11日
2年6ヶ月 12日
3年6ヶ月 14日
4年6ヶ月 16日
5年6ヶ月 18日
6年6ヶ月 20日

 

・退職するなら訴えると言われる

 

ブラック企業などではよく耳にしたりする場合も多いようです、退職する旨を伝えたら「損害賠償請求する」と罵声をあびせられるなど。しかし、雇用契約で違約金の請求や研修費の返還など定めていなのに損害賠償請求をするといった場合、その請求は認められません。

万が一雇用契約時に契約を締結していても、法律によって規定があるため、ユン外賠償請求が有効になることはありません。

 

「労働契約の不履行についての違約金の定めや損害賠償の予定」は禁止

(労働基準法16条)

 

 

「労働者の退職の自由を奪うような研修費用等の返還請求」は原則認めない

この場合は、会社側が研修費用を立て替え、その費用を退職時に請求することは、その社員に対し退職することを足止めしているので、労働基準法16条に違反する可能性が高いからです。なので、原則的に禁止されています。

 

・会社から借りている備品を壊してしまったことを理由に辞めさせてくれない

配送業界でよく耳にする話ですが、会社から支給されているトラックを壊したから、辞めるなら損害賠償請求すると言われても通常は会社が保険に入っているので、個人に請求されることはありません。

会社が保険に入っていない場合は請求される可能性もありますが、労働者の業務上のミスに基づく損害賠償請求は、以下のように過去の判例では制限されています。

 

・労働者に故意または重過失がなければならないこと

・故意または重過失があったとしても、すべての損害を賠償する必要はないこと

 

退職、辞職するときに会社から損害賠償請求をされても金額が多額になることはほとんどないようです。

 

・今やめると退職金が出ないと言われる

この退職金がでないパータンは以下の2通りになります。

 

1.退職金制度がもとからない

一般的には多くの会社で退職金制度が導入されているため、会社に勤めたら辞めるとき退職金がもらえると勘違いしている方もいますが、この退職金制度は労働基準法で定められています。

退職金制度が導入されていないのであれば、退職金を請求することはできません。

 

2.退職金制度があるが会社側が支払いを拒否している

現在勤めている会社で「就業規則、雇用契約等」で退職金制度について規定されていたり、就業規則や雇用契約に明記されていないが、これまでの慣行で事実上、退職金制度が存在していた場合は、退職金を請求できる可能性が高いです。

必要な証拠として、就業規則や雇用契約などで退職金制度が存在することがわかるもの、会社で朗どしていた事実がわかるもの(タイムカード、シフト表、日報など)

 

・実際勤めたら労働条件が違った

入社前の面接で聞いていた条件と実際に勤めてみたら条件が全くちがかった。

「基本給がちがう」「完全週休2日だったのに週1しか休みがない」「残業代はでるはなしだったが実際はでない」「休日出勤はないはずだったのに何回も出勤させられる」

こんな場合でも労働基準法で規定されています。

 

前項の規定によって明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる

(労働基準法15条2項)

 

この定めは正社員に限らず、契約社員、派遣社員、パート、アルバイトでも同じです。

 

・会社から借金しているので退職できない

会社に借金があるから一括返済しないと辞めさせてくれない場合でも、法律上では、会社を辞めた後でも返済することが可能です。金銭トラブルは会社と退職後に返済する話をするか弁護士に間に入ってもらった方がおすすめです。

 

・働く意思はあるが退職を迫られている

ブラック企業でよくみられるのが、このケースです。

会社側から社員を辞めさせるのは、労働基準法上厳しい制限があります。そのため、自分から退職させるように強要してきます。

しかし、会社からの退職強要は民法709条の不法行為のため、この教養によって会社を退職してしまった場合は「損害賠償の請求」「退職の取り消し」を求めることもできます。

 

・労働基準法上正しい退職手続きの流れ

ノートにメモする女性画像
退職手続きはこんな流れ

 

退職、辞職する時、会社とのトラブルにならずに円満退社、あなたが損しないように退職をするには「労働基準法にのっとった退職、辞職の手続き」を覚えておきましょう。

 

≪退職の流れ≫

※できるだけ1カ月以上前に退職意思を伝える

 

退職の意思を会社に伝える(退職願提出)

1.受理された場合

引継ぎ、挨拶回りなど(退職日や有休休暇消化の話し合いも行う)

離職票受け取り手続き、会社での退職手続き

退職

転職もしくは失業保険受給手続き、年金、社会保険変更手続き

 

2.拒否された場合

会社に退職届を内容証明で送付(最後の手段)

退職

転職もしくは失業保険受給手続き、年金、社会保険変更手続き

 

・退職意思意向を会社に伝える

退職するには「退職届・退職願」のどちらかが衣パン的に必要になります。

退職届は会社に対して一方的に「退職します」と宣言するもので退職願いは、会社に対して「退職させて下さい」と願い出るものになります。退職届と退職願いはちがいますので提出の際にどちらがいいか考えてから出しましょう。

 

※期間の定めがない雇用契約の場合

円満に退社したいのであれば、できるだけ早めに退職届を提出しましょう。そうすれば会社の方も人員の補充や引き継ぎ業務など対応できます。それでも法律上では2週間前までに退職届を出せば退縮、辞職することは可能です。

 

※期間の定めがある雇用契約の場合

契約期間中に退社、辞職する場合は会社との合意が必要になります。

民法では、期間の定めがある雇用契約を途中退社、辞職するなら損害賠償請求がされる可能性もありますが、会社同意のうえで退職、辞職していれば損害賠償請求はされることがありません。

 

・有給休暇を消化する

有給休暇は条件を満たしていれば、労働者は有給休暇を取得する権利を持っています。

「雇い入れ日から6カ月以上勤務している」「全労働日の8割以上勤務」有給休暇は以下の流れに沿って申請、取得することができます。

 

≪有給休暇を消化したうえでの退職の流れ≫

会社に退職前の有給休暇取得の申請をする(万が一拒否されても書面を出せば取得できる)

有給休暇取得の計画を立て引継ぎ作業などを行う

有給休暇消化

退社

 

場合によっては、退職時に消化しきれなかった有給休暇を会社が買い取ってくれることもあります。その場合は、残っている有給休暇の日数分の買取価格が支払われます。

ただし、買取は例外的な方法なので、法律上の規定もないので有給休暇は消化して退職、辞職することを前提に行動しましょう。

 

・すぐに転職しない場合の手続き方法

すでに次の職場が決まっている場合は、退職時にもらった書類を転職先に提出するだけです。

しかし、転職先がまだみつかっていない、ゆっくり休みたいなどの場合は失業保険を受給できる可能性があるので、まずはその手続きをしましょう。

 

失業保険をもらえる人は「退職前に2年以上雇用保険に加入していた」「求職活動をしている」「転職先が決まっていない」などの条件に当てはまる場合、受給できることがあります。

 

≪健康保険の手続きは人によって異なる≫

退職

扶養してくれる家族がいる場合

家族の扶養に入る

 

扶養してくれる家族がいない場合

会社の健康保険に加入していた期間が2カ月以上

辞めた会社で任意継続するもしくは、国民健康保険に加入する

 

会社の健康保険に加入していた期間が2カ月未満

国民健康保険に加入する

 

健康保険を変更する手続きは必ず必要になります。

・家族の扶養に入る

・退職した会社の健康保険を任意継続する(2カ月以上勤務の場合)

・国民健康保険へ加入する

 

・年金加入手続きを行う

≪再就職までブランクがある場合は種別変更が必≫

 退職

翌日に入社

種別変更の手続きは必要なし

 

再就職までブランクがある

第1号被保険者への種別変更が必要

再就職先に入社後、自動的に再度「種別変更」される

 

会社に入社するまでにブランクがあると、年金も変更しなくてはいけません。会社員の種別である「第2号被保険者」から「第1号被保険者」に種別を変更します。

 

・まとめ

 

退職についてまとめてみましたがいかがでしたでしょうか?

会社に迷惑をかけずに辞めるにはやはり余裕をもって退社するのが一番の円満退社かと思います。しかし、退職について悩んでいる方もいらっしゃるので労働基準法や民法上で労働者が守られていることもわかりました。

退職は人生の中でそう何度も経験するものではないかと思いますが、入社前と入社後で勤務体系や給料面の話がちがうなんて時は早急に対処しないと後々の人生に関係してきてしまうことです。これから退職、転職を考えている方は円満退社、いい転職先に勤めることができればいいと思っております。